近年社会問題化しているのが所有者不明土地の増加です。所有者不明土地とは、その名の通り土地の所有者が不明であることを指します。この原因となっているのが、相続が生じているにもかかわらず登記をしないで放棄していることにあるとされています。相続による所有権移転登記をしないままにしておくことで、数次相続が生じ相続権を有している人が20人30人と増えていってしまっているケースもあります。

このような所有者不明土地の増加によって、公共事業の妨げになるケースや、当該土地上に建築されている空き家が崩壊寸前のような状態になっていても、取り壊したり管理することができないといった事態が生じています。そこで、このような問題を解決するために導入されたのが相続登記の義務化です。今までは、相続登記はいつまでにしなければならないという義務はありませんでしたが、義務化によって相続開始後3年以内に相続による登記をしなければならず、正当な理由なく期限内に登記をしなかった場合には10万円以下の過料に処すという内容です。なお正当な理由には、遺産分割協議が成立しなかったという事情は当てはまらないと解釈されています。

何故なら、相続による登記の代わりに、期限内に相続が生じたことを法務局美申告すれば、相続登記における義務を果たしたものとみなす規定があるからです。この申告は、相続人全員でなく一人からでもできるため、遺産分割協議が成立していないからできなかったという理由は通用しません。なお相続登記の義務化はすでに発生している相続についても適用されるので注意が必要です。