土地や建物のように容易に移動させることができない財産は、他の動産とは違って所有者の手元に常に置いておくことができません。このように所有者が誰であるのかを見た目から判断することが難しいことから、我が国では不動産に関しては特に登記制度を設けて、土地や建物の所在と権利関係を明らかにすることとしています。したがって通常であれば土地や建物の所有者は登記簿を閲覧すれば明らかですが、この登記簿に掲載されている記載内容が正確ではなく、結果として土地や建物の所有者がわからなくなっているケースも見受けられます。この所有者不明土地や建物の原因となっていたのが、相続登記をめぐる法律の不備といわれています。

これまで土地や建物を相続した際の名義変更のための相続登記は、かならずしも法律上の義務ではなかったため、費用や手間を省くために積極的に行わずにいる人も少なくはなかったのが実情です。このような相続登記を怠る事例が増えれば、所有者不明土地や建物が生じるのは当然です。そこで今般、国会において相続登記の申請を義務化する法律が制定され、いよいよ2024年から施行されることになりました。義務化の法律が施行された場合、これ以降に相続をした不動産は3年以内に登記申請をしなければならないこととなります。

そのほか義務化以前に取得しておきながらいままで登記申請をしていなかった不動産についても、法律の施行後3年以内のタイムリミットまでに申請を済ませることとなっています。